目撃場所/掃除用バケツ


これを果たして「ピクトさん」の範疇に含めていいものか、意見の分かれるところだろう。掃除をしているだけの姿が「被苦人」と言えるのか。しかし私のような怠け者からすれば、このピクトさんの姿は過酷な労働を強いられているようにしか見えないのである。掃除め。それほど難しい作業ではないのに、なぜこんなにもやりたくないのだろう。通常ピクトさんの顔からは表情が読みとれないものだが、このピクトさんは陰鬱な表情をしているように見えてならない。書かれている文字が「CLEAN UP YOUR ROOM」と命令形なのも気になる。人の部屋なんだからほっといてくれ、と言いたくなるが、これは強制なのか。いったい誰が命令しているのか。ひょっとしてピクトさんが行っている一連の危険な行為も、何者かによる強制なのではなかろうか。他の目撃写真も「これは誰かにやらされているのだ」と思って見返してみると、気の毒さ倍増である。


人生はすべて、次の二つから成り立っている。    
したいけど、できない。できるけど、したくない。
ゲーテ