目撃場所/工事作業機械(韓国)
(今回の目撃写真は こま様にいただきました)


「ちょ、ちょ、揺らすなって」
「ごめんごめん。ジョークジョーク」
「お前、前もそんなこと言って揺らしたことあるよな」
「いや、お前のリアクションが面白いから」
「リアクションなんか見なくていいだろ!なんでお前のちょっとした好奇心のためにオレが死と隣り合わせにならなきゃなんねえんだよ!」
「つっこみが長いよ」
「つっこみとかじゃねえよ!とにかく揺らすのやめろって言ってるんだよ」
「わかったよ。もうしないから」
「ちゃんと支えててくれよ」
「はいはい。わかりましたよ・・・と言いつつガタガタガタ〜」
「ちょ、ちょ、やめろって!怖い、怖いから!」
「わかったわかった。やめる」
「もう!シャレになってねえよ!」
「まあ、そう怒るなよ」
「誰だって怒るよ。ほんっとに。なんで揺らすかな」
「いや、お前のリアクションはさ、お前が思ってるよりずっと面白いんだよ」
「面白くなくていいよ!なんだよその口説き文句みたいな言い回しはよ! 『キミは自分が思ってるよりずっとキレイなんだよ』みたいに言ってんじゃねえよ!」
「つっこみが長いって」
「だからつっこみじゃねえっつってんだろ!本気で怒ってんの、オレは!」
「ちょっとくらい揺らしたって落ちないよ」
「十分落ちそうだよ!」
「そうなの」
「もうすんなよ」
「わかった。もうしない」
「約束しろ。もう揺らさないって」
「いや、約束はしないけど」
「なんで拒むんだよ!約束を拒む意味がわかんないよ」
「いやあ。だってイマドキ約束なんて不安にさせるだけだよ?」
「なんの歌詞だよ!なんで急に恋人を想ってる感じになってるんだよ」
「いやなんとなくさ」
「どういう関係なんだよオレたちは」
「上下関係だよね」
「・・・べつにうまくないよ!」
「ふふふ」
「なに自分のシャレで笑ってるんだよ!なんだよ上下関係って。それならそれで下にいるお前はオレを敬え」
「お、かぶせてきたね」
「かぶせるとかそういう会話してないから!いい加減にしろよほんとに」
「わかった。ちょっと冗談がすぎた。あやまる」
「・・・ったく。疲れたよ。もう」
「と見せかけてガタガタガタ〜」
「うわっ、ちょ、やめ、もうほんと、やめて」
「はいはい、やめるよ、やめる」
「・・・・・・」
「だいじょうぶ?リアクション薄かったよ」
「知らねえよ!薄いとか濃いとかは」
「逆にリアルだったけどね」
「ずっとリアルだよこっちは!逆に、ってなんだよ」
「でもさあ、お前はいいよな、ほんと」
「なにがだよ」
「そうやってオレに文句言ってるだけで金もらえるんだから」
「もらえねえよ!もらったことねえよ!」
「そうなの」
「むしろもらってみたいよ!」
「もらってないんだ」
「もらってないよ!オレはあれか、漫才師のつっこみ役か。いつコンビ組んだんだよお前とオレが」
「いや、オレはずっとお前を相方だと思ってきたけど」
「ただの素人だろオレら。なんだよ相方って。だいたいオレお笑いなんか興味ないからな」
「あ、そうだったんだ。てっきりオレはお前がリアクション芸とつっこみをミックスした新しい芸風を開拓しようとしてるんだとばかり思ってたよ」
「そんなもの開拓するかよ!」
「じゃあ今から開拓しよう」
「もういいよ!」
「どうもありがとうございましたー」



人間のみがこの世で苦しんでいるので、
笑いを発明せざるを得なかった。
ニーチェ