目撃場所/工事現場


まきこまれ。このピクトさんは文字通りアクシデントにまきこまれているわけだが、しかしこれは本人にもかなり責任があるのではないだろうか。大変なうっかり屋さんであると言わざるを得ない。人は人生の中で様々なうっかりを経験する。私は昔、風呂に湯をはろうとして、浴槽の栓を開けたままお湯を出し続けていたことがある。20歳くらいの時のことだ。蛇口をひねった後テレビを見て10分ほど時間を潰した私は、「そろそろいっぱいになったかな」と風呂場へ向かったのである。ドアを開けると、蛇口から出るやいなやそのまま真下の排水口へ吸い込まれていくお湯が目に飛び込んできた。私は自分のあまりのうっかりっぷりにショックを受け、しばらく動くことができなかった。お湯が描くまっすぐなラインを見つめながら、「オレは将来、大物にはなれないだろうな」と思ったものである。このピクトさんを見ていると「機械に近づくと危ないよ」という直接的な警告ではなく、「うっかりするなよ」という生き方そのものに対する警告をされているような気がしてならない。


ぼくは二十歳だった。それがひとの一生で          
いちばん美しい年齢だなどと、だれにも言わせない。
ポール・二ザン